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守衛室12 [博多なほ子 小説]



映画を観終わって

スクリーンの裏側にある

階段を上がってみる


途中の踊り場で

炊事場にある洗濯機に

久里浜さんが洗濯物を

入れているのと出会う


「きょう、これからすき焼きをやるからね」


と少し大きなトンボ眼鏡のなかの

まん丸な目を細めながら言った


「その洗濯機、まだ壊れてない?」

「うん。まだ大丈夫みたいよ。」


この洗濯機は、家電製品販売の

ビルの管理人をしている私の父から

もういらなくなった中古の洗濯機を

もらってきたものだ。

父親の得意分野だ。


楽屋にいくと

だいぶ顔なじみになっていた

どん亀というペンネームで

同人誌を作っているどん亀さんと

イトコさんと、Oさんが

テーブルやら、コップやら

準備しているところだった


「ああ、Hさん、材料買い出しに行って」

「えっえー。何を、どこへ買いに行けばいいの」

「あのサンペイストアーへ。いいや、一緒に行くから」


と、言うわけで、どん亀さんと二人

材料を仕入れてくると

どん亀さんの都立高校時代の友人

今は同人誌の友人となってる

やさしそうな男性二人と

女性一人が加わっていた


女性は、すでに何度かここへ

どん亀さんと一緒に来ていた

髪の長い美人のAさんだった


Aさんは、半年程前

離婚したということだったが

どん亀さん達と又

仲間として付き合ってるなんて

シャレていると思った


ここですき焼きを手際良く準備するのは

何と言っても久里浜さんだった


Oさんと半同棲の成果なのか

もともと料理上手なのか

定かでないけれど

おかみさんのようだ


私はこんな場合

何をどうやればいいのか分からず

料理を待つお客さん状態になってしまう


ただ

こんな機会が増えてくると

段々と自分がお酒に強いことを

知るようになって


生きるための処方箋を

一つ手に入れた気にもなってくる

これは父親譲りのようだ




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プレ啓蟄 [お気に入り]


もう一ヶ月くらい

たってしまったように感じるけれど

たったの十日間。


浦島太郎の

さかさまヴァージョン。


ブログに

日記をつけられなかった分

手帳にはメモして

色々な面での変わり目を

感じています。


一週間つづいた

お仕事の研修も終わり


また新たな気持で

詩に


人生に

向かえそうです。





素直な疑問符

(川崎 洋)


小鳥に声をかけてみた

小鳥は不思議そうに首をかしげた。
              

わからないから

わからないと

素直にかしげた

あれは

自然な、首のひねり

てらわない美しい疑問符のかたち。


時に

風の如く

耳もとで鳴る

意味不明な訪れに

私もまた

素直にかしぐ、小鳥の首でありたい。




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守衛室11 [博多なほ子 小説]



私より小柄な

六十近いと思える

色の黒いやせたおばさんの話は

戦後直後の話が一番面白い


ここから駅まで

さえぎる建物がない位に

なってしまって、という話から

色々あって、今は

小さなアパートの

大家さんだと言う話に

意外な感じを受けた


今は体のために

こうやって働いている

と話すのを

私は「そうなんですか」と

相槌をうちながら


三十分位は

廊下で立ち話をしながら

平気できかせてくれる


今の私には

ここが丁度いいみたいだ


五時になると

自分で鍵をかけて

ほぼ毎日のように


あの穴倉の地下の劇場や

他の劇場へ向かう


私は、独立プロの映画と

その周辺の映画を


たぐりよせたぐりよせ

見続けてゆくことに忙しく

それらの映画を

自分の精神で咀嚼していると


彼がいなくなっても

さみしさは

殆ど感じなかった


それ以上に


神でしか

私をこのようにすることが

出来ないのではないか

と思われるような


自分の異常な砂漠のような

精神状態を経験して


その後に彼と結ばれたこと


そして、今彼がいなくなって

これらの映画を見ていること


その流れが全て生きるために

必要不可欠のことのように

感じられた


彼と結ばれたことで

さまよっていた精神が

立ち止まり


そして


この映画たちから

知を刺激されながら

咀嚼しながら


納得させながら

落ち着かせてゆくことが

できると感じた


私なりの

生きるための言葉を見つけながら


そして私はそれらから

受け手として

私一人、


一個の一粒の

生きて行く営みの言葉を

みつけられればよかった





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マリーちゃんの初春 [マリー語録]



私のプリマヴェーラ、


マリーちゃんの表情が明るいです。


お年玉のせいだけではなさそうです。

ちょっとしたひとり旅もして

小さな自信をつけたようです。


私いつのまにか

鍛えられていたのかも。


そうだね、

アルバイトもがんばってきたしね。


すごく学んだ気がする。


このお正月?


ううん、17年間。


どう生きるのがいいのか

自分なりにわかってきた。


今日買い物の時

すごくいい感じの

やさしいお姉さんに会った。


私もあんなふうになりたい。


そっか。よかった。


将来やりたいことも決まってきた。


そう!

がんばって。


弟もできたしね。


マリーちゃん

お姉さんになりました。


トムという弟猫の

お姉さんになったのです。


ジローの二代目なので

鼠色です。


ほこりみたいな色がいや、

と言いつつ

トムを抱っこしたり

よしよしするマリーちゃんから


愛がじわじわ

染み出して


いよいよ、マリーちゃん、

すてきなお姉さんをめざします。




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わたしも雛罌粟 [日記]



玄関を出ると

丸い

大きな花壇


茎の長い

花が咲いている


何色?


青だ

青い花だ...


なんてきれい...

こんな色の花もいい


手のひらで作る

カップのよう


たった四枚の

薄い花びらで


中心をふんわり

守り

包んでいる


なんてシンプル...


何本咲いてる?


一、二、三、四、

数えてみたら

四本


うまいこと

等間隔に並んでいる


花の大きさと

色は同じで


背の高さはそれぞれ


近づいて見ると


茎は思ったよりも

ずっと太い


ピンと

まっすぐ伸びている


思わず見入って


よく覚えておかなくては




目をカメラにして


下からゆっくり

眺めようとしたところで


目覚ましのベル。


今年の初夢。







一心になる時


晶子のように


雛罌粟の花の

朱色のように


何千、何万、

集めたほどに


心は一息に

燃え盛る


二人で

火の子になった後は


静かに眠って

時々起きて


とりとめのない

話をする


至福って

こういうこと?


そう言っては

また眠くなる





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独白 [お気に入り]



❀あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いいたします❀


百回目の日記です。


今年は

なるべく毎日書けたら、と思っています。





十一月に

二十円図書館(Nさん命名)で

買っておいた

『智恵子抄』


暮れになって

開いてみて


目に留まった詩を

読んでいるうち

苦しくなった。


光太郎の詩を読む

私の心の声は


光太郎の

心の声と重なり

そのうちに


好きだった人の声に

なって


一緒に暮らさないか


あの人の声が

私の胸を

絞めつけた。







吹雪の夜の独白


(高村光太郎)



外では吹雪が荒れくるふ。

かういふ夜には鼠も来ず、

部落は遠くねしづまって

人っ子ひとり山には居ない。

囲炉裏に大きな根っ子を投じて

みごとな大きな火を燃やす。

六十七年といふ生理の故に

今ではよほどらくだと思ふ。

あの欲情のあるかぎり、

ほんとの為事(しごと)は苦しいな。

美術といふ為事の奧は

さういふ非情を要求するのだ。

まるでなければ話にならぬし、

よくよく知って今は無いといふのがいい。

かりに智恵子が今出てきても

大いにはしゃいで笑ふだけだろ。

きびしい非情の内側から

あるともなしに匂ふものが

あの神韻といふやつだろ。

老いぼれでは困るがね。







かっこよすぎますね、光太郎といふひと。

あるともなしに匂ふひと。





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伏し目 [ポエジー]



天使は

死んだらお迎えに来るもの


と思っていました。


そして

西洋だけの存在

と思っていました。


思う以前に


おとぎ話と

みなしていたので


いる、いない、


とも思わない


どちらでもよい


サンタクロースのようなもの

でした。



けれど

二十代の終わり頃です。


ある日

空から


天使が

つつつ




縦に

ゆっくり


座ったまま


涼しい顔で


降りてきたのです。



私の無意識を

飛び超えた天使は


西洋の絵画から

抜け出した

天使そのまま


金茶色の長い髪を縮らせ


赤と金の刺繍の

服を着ています。


何も言いません。

ただこちらを見つめるだけです。


その後

短い期間


たびたび

天使は現れます。


どこに現れるのか。


それは天

それは空


それは

私の額の裏に。


額が映す先に。


目で見るものではないのです。




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ひと巡り [日記]



28日

しめ飾りを飾りました。


去年の暮れの

ブログを読み返してみたら


26日に

早々に飾ったと書いていました。


ブログも一年。


ずっと読んでくださっている方々

ありがとうございます。



12月はもう、半ば過ぎには

店じまいのように

閉じていく気持ちでしたが

とんでもない。


そこからが本番でした。


夫が亡くなった時


あと四十年以上も

夫がいない人生なんて

考えられません、


一緒に死ねるものなら

死んでしまいたいです、


そう言って

お坊さまの前で

さめざめと泣いた私、


生み落とされたばかりの

子牛や子馬みたいに

足をがくがく

ふるわせていた私が


朝、靴を履いて

出かける時

いつも思います。


ひとりで

こうして何年も

生きていられている。


仕事もしている。


恋もしている。


子供たちは育ってくれている。


仕事は

夫のやり方を思い出しながら。


愛は全身で。



夫との人生で学んだことが


今の人生につながっています。





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守衛室10 [博多なほ子 小説]



「イトコ?」


「小説家志望で

これが前出した

イトコの自費出版の作品」


と、B5判の黒っぽい表紙に

木の幹が卵を抱いているような

抽象的なデザインを施した

薄めの本を彼から受け取った


私は、一時

詩人にになりたいと思って

ほんの少し通信添削を

受けたことがあった


一作目から

何をいっているのか分からない

との評を受けたり

すぐに担当の先生が

変更になったりして

気持ちがそがれてしまって

やめてしまった


が、今も詩人になりたいという

気持ちは少しは残っている


でもそれは

自分なりにやっていくものだと

今は確信してしまった


ただ、小説はとても書けない

と思っていたから


小説を書く人とは

どんな感じの人なのか

少し気になった


一方、私は

単位はそれなりに充足していたので

大学は三月で卒業していたため

働き場所を見つけなくては

ならなかった


丁度

この劇場で

事務員を募集していて


彼が、受けてみれば

と言うので

言われるままに履歴書を持って

事務室に面接に行ってみた


聞かれたのは

今年大学を出たばかりなんですね、と

K君の知り合いですか、くらいで

すぐに面接は終わって


翌日、不合格の通知を受けた


その後

事務員募集立て看板がかかげられ


その前を通る時

少し腑に落ちない気もしたが


ただ

今の自分にきちんとした就職が

できそうもなかったので

当然の結果かなとも思えた


他にも就職のことで

うろうろしてるうちに


彼は帰ったらしく


守衛室には

イトコさんが来ていた


結局私は

久里浜さんの親戚の事務所に

電話番として

採用してもらった


丁度、この劇場から

歩いて10分程のところで

その先を5、6分行けば

久里浜さんのアパートもあった


電話番として

一応の働く格好のついた

私の仕事は

まさしく留守番以外の

何ものでもなかった


四十代半ばの社長は

ここ以外にも不動産を

所有しているらしく


時々顔を見せても挨拶程度で

特別仕事もいいつけずに帰って行く


月末に

同じ階にある事務所二軒へ

家賃を集金に行くのが

一番の仕事だった


なので五坪ほどの部屋に

スチールの事務机が

五個並んでいても

いつも一人の私は


週何度か、この建物を

掃除に来るおばさんが

ここでは一番の

話し相手となった





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届くかな? [日記]



お礼を兼ねて

クリスマスの贈り物をしたいと

思い立ちました。


何にしようか...


一つは

先日お宅におじゃました際

手みやげに持っていった

お菓子の包装を

気に入ってくださっていたので

中身を変えて。


これはどこで買えるの?

と訊かれたのです。


ひ孫さんに見せたい、

と思われているのかな

と想像しました。


それで


サンタクロースの絵柄が可愛い、

お菓子もとびきり美味しい、

ご近所のケーキ屋さんの

焼き菓子も添えて。


一つは

珈琲がお好きなようだったのと、

淹れてくださった珈琲が

もう残り少なかったので

珈琲を。


老夫婦でお住まいなので

お買い物が大変そうな

ご様子でした。


そしてもう一つは

『くまさんどこかな?』(河出書房)

という仕掛け絵本。


タラブックス

というインドの出版社から

日本で初めて

出版されました。


高橋香緒理さん

という

とてもかわいらしい女性が

描かれています。


詩が大好き、

だそうで


私の拙い詩も

やさしい目で

読んでくださいました。

ありがとうございました。


心に湖をたたえた

すてきな方です。


絵本も

とっても可愛いので


もしよろしければ

皆さまも

小さなお子様への贈り物に

いかがでしょう?


クリスマスに間に合うか

心配で問い合わせたら


連絡を受けた

郵便屋さんが


いやあ!

ちょうどこの道を

通りかかったところだったんですよ!


サンタクロースみたいに

ありがたい郵便屋さんで


クリスマスの朝

届けてくださるとのこと。


ありがとうございます!





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